2023年3月末嘉手納基地にF-15C/D退役に伴う穴埋め部隊がまたやってきた。2022年2月に嘉手納基地に移動訓練に来た事のあるアラスカ州イールソン基地の第354戦闘航空団傘下の第355戦闘機中隊”ファルコンズ”である。今回マイケル・ミクス中佐率いるF-35A派遣部隊は、第355遠征戦闘機飛行隊と名が付いていた。機数は公式発表されていないが、12機と言われている。5月21日横田基地祭には、嘉手納に派遣されている部隊からの展示機参加も予想され、スイモア・ジョンソンかマウンテンホームのF-15Eが来ると言う予想もあったが、ファルコンズが飛来することとなった。PACAF(太平洋航空軍)の所属の為、これからも見る機会は多いであろう飛行中隊であるが、展示機として身近に見れることは素晴らしい。早速UPしよう。(2023年5月記)

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2020年12月18日 第355戦闘機中隊は、アラスカのイールソン基地で再編成のセレモニーを行っている。2023年現在 第354航空団には、F-35Aの飛行隊が2個あり、総数54機のF-35Aを運用している。彼らの主要な任務は、敵の防空網の発見と完全破壊(SEAD/DEAD)と対空迎撃任務(OCA)である。この飛行隊の最初の司令官サムエル・チップマン中佐の指定機は、部隊ナンバーに因んでF-35A/18-5355が選ばれている。
大戦後部隊は解散したが、1956年にF-100スーパーセーバーの戦闘機部隊としてマートルビーチで復活、1970年にA-7Dに機種変更して、地上攻撃専門部隊とA-7Dコルセアの新航空団に加わっている。A-7の後継であるA-10に機種交換した後、1993年からアラスカとの縁が出来て、イールソン基地に配備された。その後 テキサスのフォートワースでF-16飛行隊となり F-35Aに機種変更後、再びイールソンに配備されている。
2023年5月の横田基地で展示された2機のF-35Aには、短距離空対空ミサイル用のガイドレールが翼端に付けられていて、AIM-9Xの発射シュミレートを盛んに行っていることを想像させる。
第355戦闘機中隊は、1942年にカルフォルニア州ハミルトンフィールドで創設された歴史のある部隊である。最初の配備機はP-39Nエアコブラでオレゴン州のポートランドに拠点を置いていたようだ。初代の隊長はジョージ・R・バッケル大尉で、彼はパールハーバーで殲滅されたP-40飛行隊の敵を討つべく、日本軍に闘志を燃やしていたらしい。しかし この部隊が最初に送られたのは、ヨーロッパ戦線である。1943年に機体をP-51Bムスタングに換え、1943年12月にフランスのサントメールで爆撃機部隊の護衛任務などを担当し、12月13日に部隊として最初の撃墜戦果を挙げている。
彼らの飛行隊は、日本名で戦雀ならぬ”戦隼”としているようだが、"Fighting Falcons"を直訳するとそうかもしれない。ネリス基地の欄でも記述したが、昨年と今年で基地祭のデモ飛行が行われ、F-35Aが機動戦闘に弱い鈍重な戦闘機と言う「一部マスコミからの情報」は、完全に払しょくされたであろう。大きなエンジンを全開させ、ベイパーを纏わり付けてパワフルな機動を見せてくれた航空自衛隊のF-35Aに、観客は驚きを隠せない。米軍のF-16Cのデモ飛行は技術的には、航空自衛隊のF-35Aのデモ飛行より優れていたが、機体のパワーは一目で判るぐらい違いがあったのだ。F-35Aは、マッハ2こそ出ないが、仮に近接戦となっても機動力でも、明らかに第4世代に差をつけている戦闘機である。
↓ 2023年9月10日三沢基地に展示された2機の355th FS所属のF-35A。
(2023)
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尾翼には第355戦闘機中隊のインシグニアにある5つの星が上下に並んでいる。同じくイールソン基地のシスター飛行隊である第356戦闘機中隊”グリーン・デーモンズ”は、此処が矢尻となっている。
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